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2012年12月 4日 (火)

アメリカ人と日本の地理

アメリカでは地理をロクに教えていないのか、アメリカ人の地理音痴は有名な話です。こちらに書かれているのは本当の事で僕も似たような経験があります。高校生でアメリカに交換留学生として行っていた時にアメリカ人で日本がベトナムの隣ぐらいにある、と思っていた人に会っています。

どうしてそうなのかはいくつか理由があると思うのですが、そのうちの一つはおそらく、教育がなっていない事。他にもおそらく、アメリカ人の多くが自分の近所以外の事に興味がないとかいう事がその理由の一部にあるかと思われます。だからアメリカの地上波のテレビではローカルニュースの方が全国ニュースよりも重要になるのだと思われます。まあ国土がこれだけ大きいので例えばオマハに住んでいてカリフォルニアで何かがあってもそれは遠い所で起っている事で関係がない事、となるのだと思うのです。

さてアメリカ人と話をしていて時々話が出るのが僕が日本のどこの出身か、という事です。だいたい、この質問は初めて会った人とか知らない人から聞かれる事がほとんどなのですがほぼ間違いなく、ほとんど意味がない質問だと僕は思っています。何しろ、相手はアメリカ人。そもそもにおいてほとんどのアメリカ人は東京が地図のどこにあるかはもちろんの事、多くが日本が具体的にどこにあるのかを地図で差す事ができません。そもそもにおいてほとんどのアメリカ人は東京、京都、大阪、広島、長崎以外の都市はほとんど聞いた事がないはずですから金沢など知らなくて当たり前。

まあ嘘をつくのも嫌なので素直に金沢出身と言う様にしていますが、当然の様に、次は「それはどこだ?」となります。でも日本ってそもそもの地形的な理由で東西南北が説明しにくい…。金沢に育った僕としては金沢は「北の方」になるのですが(北陸ですからね)、しかし、知らない人(要するにアメリカ人)から見るとどう見ても北ではない様です(まあ関東の人からすると金沢は北ではないらしいのですけど…)。しかし、アメリカ人、そもそもに東京が日本のどこにあるかも知らないので訊く意味がないんではないか?という気がします。もちろん、アメリカ人が訊いているのは金沢が本州にあるのか、という事らしいのですが、そりゃあなた、確率的に言って本州からの人間に会う可能性の方がはるかに高いでしょう。何しろ、人口の八割が本州に住んでいるのですから(実際、僕は長年アメリカに暮らしていて本州以外の土地から来た日本人には数える程しか会っていません)。まあこれも地理を知らないアメリカ人ならでの質問なのかも知れません。

で普通は金沢がどこかを説明するのですが次に訊かれるのが「近くの大きな都市はどこだ?」という事。あの〜、それって金沢なのですけど…。確かに新潟や名古屋の方が金沢よりは大きいのですが、僕の感覚からするとどちらも決して近くはありません。電車に乗って何時間、というあたりですでに遠い、となるからです。もちろん、アメリカ人には電車に乗る、という発想がそもそもないのでよく訊かれるのが「車で東京からどのぐらいかかるか」という質問。多分、七時間ぐらいかかるのでは?と思われますがしかし、金沢から東京まで運転って普通はなかなかしないと思うなぁ…。僕は金沢から東京まで車でと言う事を一度だけ兄が東京に引っ越した時にやっているぐらいですね(当時は運転ができなかったので僕は荷物持ち)。その時は確か関越自動車道を通過して行ったはずです(当時はまだ上越道がなかったのです)。またオマハ辺りのアメリカ人が理解できない事の一つに、日本の道って基本的にはどこに行っても車が多くて道も狭いしまっすぐではないから日本で七時間運転するのとアメリカで七時間運転するのとではストレスの溜まり方が違うのですね。だから七時間の運転で行く距離はアメリカよりも短いかも知れませんがそれって結構、遠いという事になります。

また、日本の鉄道の事を少し知っているアメリカ人は東京から金沢まで電車で四時間ぐらいかかると言うと「どうして?」という顔をしたりします。金沢にはまだ新幹線が来ていないからなのですが、確かに東京から大阪までのぞみで二時間半程度、ひかりで三時間と考えるとえらい時間がかかりますね。またアメリカ人は日本に山があるとは思っていないのでなぜ電車の線路がまっすぐになっていないか、という事が不思議なようです。

以前、金沢で聞いたのは「ああ、左手をだして親指を突き出してそれを能登半島に見立てて『ここ』って指差せばいいんだよ」という意見。実はこれはアメリカ人にはなかなか通用しません。なぜか?地理音痴のアメリカ人が「能登半島の場所を知っているわけがない」からです。そもそもアメリカ人は房総半島がある事を知らなかったりもしますから…。その反対側にある能登半島の事を知らなくて当たり前といえば当たり前。以前は説明する為に手書きで日本地図を紙に書いたりしていた事もあるのですがその時にアメリカ人がよく言っていたのが「よくそんなに細かい事を描くね」との事。要するに彼らに取っては房総半島や能登半島はおろか、紀伊半島も本州がまっすぐではなく、北に向かうに従って角度が急になって行く事も枝葉末節なのです。そういう人たちを相手にしていて「左手の親指の付け根」は役には立ちませんな。結局、アメリカ人が落ち着くのは「東京から西ね」となるのですがしかし、地図を見ればどう考えても国土の半分以上が「東京の西」になる様な気がしてなりません…。

また、先ほどの山の話にもつながりますがアメリカ人の多くは日本で雪が降るという事を知らないので金沢に雪が降るのにはビックリするようです。しかし、それもよくよく考えればわからないか?と思うのですが…。何しろ、日本で冬季オリンピックが二回開催されているのですから。と、いう事は冬季オリンピックが開催できる程の山があって雪がある、という事です。雪がないとスキー競技はできませんし、山がないとアルペンスキーができませんから。

この雪の降る所も彼らに取っては不思議なようで、太平洋側では(ほとんど)雪が降らないと言うのがわからないようです。これも地理(と及び気象学)の知識不足。確かに雪が降るにはある程度の寒気がなければ降りませんが、それとともに空気中に水分がなければダメです。だから寒気が日本海を通過する時に水分を吸収してその寒気が山に当たって降雪になり、山を通過した後は水分がないから太平洋側では降雪があまりない、となるのですがそれがわからない。だから九州でも北の方では雪が降る、と言うのがなかなか信じられないようです。水分があるからこそニューヨーク州のバッファローとか五大湖の東側は積雪が多くなるのですけどね…。それを知っているはずなのにその応用が利かないのでしょうか?

僕の知る限り、この元凶はアメリカの地理教育にある様です。えらく古い情報になりますが僕が高校生の時に交換留学生としてニューヨーク州の田舎町にいた時にホストシスターが地理の勉強をしていました。その子は僕の二つ下だったので日本で言えば中学二年ぐらいでした。その時に暗記しようとしていたのがアメリカの州の名前と州都の名前。要するに日本で言えば都道府県と県庁所在地を覚えるのと同じです。実はその時は何とも思わなかったのですが今になって考えると日本では小学校のうちに都道府県と県庁所在地を習う事を考えるとずいぶん遅い時期にアメリカの州と州都の名前を暗記していました。なるほど、これでは世界地理をなかなか学ばないはずだ、と思います。

また、こういう事もありました。実はその時のホストマザーが高校の社会科の先生だったのですがある時話をしていてビックリするような事を言っていました。どうしてそういう話をし始めたのかその経緯は全く覚えていませんが、「ソ連では(インドのカースト制度の様に)決められた仕事しかしてはならないらいしい」という事を言っていました。え?まさかそれはないでしょう?ソ連の共産主義には確かに職業の自由はなかった様ですがだからと言ってそこまでひどかったわけではないようです(まあ実はインドのカーストが本当に中学校で習った時の様にがんじがらめの物なのか?という疑問もあるのですが…)。どちらにしてもソ連の情報はかなりいいかげんなそういう印象を受けました。確かに、年代的には確実に反共の時代の人でしたし、また当時は冷戦がまだ(なんとか)続いていた頃の話…。アメリカがソ連の事をめちゃくちゃに言っていた時代の話です。しかし社会科の先生がこうだったのですから…。

アメリカ人の地理音痴にはおそらくもう一つ考えられる要因があるかと思います。アメリカでは一般に学問が重んじられていない傾向にあるのでみなさん、右から左へと習った事を忘れて行きます。したがって学校を出て何年も経ってしまったら何も覚えていない、という事があるのだと思います。特に地理の様に「自分の生活に関係がないと思われる事」は元々にして「何で学ばなければならない」と思っているのでよけいにそうなるのだと思われます。そうなると何も覚えていなくてもあまり不思議ではありません。この辺りが現代アメリカの偏った資本主義の影響で、お金さえ手に入れば何でもいい、という考え方が見え隠れしているのかも知れません(もっとも、オマハが「砂漠の所か?」とか「山のある所か?」とかいう中学校の地理をちゃんと覚えていればあり得ないはずの質問をする人が日本でよくいるので現代日本の学校教育をちゃんとみなさんが覚えているとは到底僕には思えないのですが…)。

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