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2013年3月27日 (水)

聖アルベルトゥスの日

今日はうちの大学で「聖アルベルトゥスの日」と呼ばれる学内の研究発表会の日です。三週間前、春休みに入る前のミーティングでは今年は誰も大した事が今の所はしていないので今回は見送りかな、と思っていたのですが春休みの間にロングアイランドの研究所に行っていた二人の学生の子たちが想像以上に働いてくれたので「春休みから帰ってきてここまで一週間以内にできるか?」という条件を出して「で、君たちがやりたかったら」と聞いたら「ぜひ、発表をしたい」との即答が返ってきたので急遽、学生の発表が決定しました。

さて、では聖アルベルトゥスとはいったい誰ぞ?日本語版Wikipediaにはこの様に書かれています。

アルベルトゥス・マグヌスは大聖アルベルトとも呼ばれる13世紀のドイツのキリスト教神学者である。またアリストテレスの著作を自らの体験で検証し注釈書を多数著す。錬金術を実践し検証したこともその一端である。

カトリック教会の聖人(祝日は命日にあたる11月15日)で、普遍博士(doctor universalis)と称せられる。トマス・アクィナスの師としても有名である。ピウス10世によって教会博士の称号を与えられている。

これではなんだかよくわかりませんね。要するに科学者であり、哲学者であり、神学者でもあり、学問の追究に一生を費やしたという話でその為に学問の聖人として敬われている、との事です。具体的には科学と宗教の共存に貢献をしたとの事。

聖アルベルトゥスを記念として発表会を行っている大学は調べてみるとうちの大学だけではないようで、シカゴのロヨラ大学などでも似たような発表会が行われている様です(ロヨラもうちの大学もどちらもカトリック系の大学です)。しかし、記憶が正しければ僕が学生の頃はまだうちの大学ではこういう形の発表会はまだなかったはず。うちの大学はこれでせいぜい十何年(多分、十年程度)だと思われます。まあそれでもちゃんと研究発表会として定着はしているのでたいした物です。先ほどのWikipediaの情報を見ますと本来の聖アルベルトゥスの日とは十一月十五日なのですが毎年何故かうちの大学では「聖アルベルトゥスの日」と称して研究発表会がこの時期に行われています。その理由の一部は十一月に行うとあまり研究が進んでいない場合が多いのでそれほど発表会に出席する事がない、という事があるのだと思われます。

今回の学生たちの発表内容はロングアイランドの研究所にある実験の一部のシステムがLabViewというシステムで制御されているのを他のシステムで使われているEPICSとの統合の為のプロトタイプの開発について。具体的にはLabViewで制御されている発光ダイオードをEPICSから制御できるよ、という事の実証です。学生二人には先週一週間の間にその為のプロトタイプを開発してもらいました。最終的には僕が少し手伝いもしたのですが(まあそれも想定内)。将来的には実際に使われているシステムもEPICSで統合まで持って来る予定です。

僕たちの研究内容は「高エネルギー核物理学実験の検出器の制御」という普通は誰も何も知らないような内容なので学内の発表だとうちのグループの人たちを除けばほぼ、誰も何も知らないのが現状。従って、あまりプレッシャーもありません。しかも、聖アルベルトゥスの日はポスター発表のみ。個人的にはポスターの方が下手をすればより難しいのですが一般に学生はポスターの方が好き(人前に立って話をする、と言うのに口頭発表だと抵抗があるらしい)。そういう意味でもまあ楽ではあります。それでもただポスターを見せるだけでは面白くないのでテーブルを一つ用意してもらい、プロトタイプの展示も行います。実はこのあたりは少しインチキがあって、二台のコンピューターをネットワークで繋いでEPICSが使われている方からLabViewを制御できる様にしてはありますがEPICSを少し知っていればすぐにわかる事ですが実はこれはEPICSがそういう仕組みになっているからなのですが知らない人が見たら「おお、すばらしい」となるからなのです(そもそも、制御の事を知っている人がほとんどうちの大学にいない上にEPICSを知っている人はうちのグループ以外では誰もいませんから…。大掛かりな物理実験以外でEPICSを使う事は普通はありませんから)。

さて、学生たちの発表は午前の部。プロトタイプのデモの設定に少し時間がかかったものの、開始時刻の九時半前には設定が完了。九時半から十一時半までの二時間程ほぼ、ポスターの前につきっきりになりました(僕は他のポスターを見てきましたけど)。その間に六人程(うち二人は審判)がやって来たとの事。内容が内容だけにあまり人が来ないだろうなぁ、とおもったらやはりその通りでした。それでも学生たちは丁寧に説明をしていました。始めての発表会、それもすごく短い準備期間に仕上げたにしては上出来だな、と思いました。

St_alberts_day1
St_alberts_day2
St_alberts_day3
その反対にうちのグループの大学院生のポスター、午後の部だったので冷やかしに見に行きましたが見た瞬間に「いったいどこが新しい研究なの?」と聞かなければならない内容のポスター…。この大学院生のポスター、どこをどう見ても四、五年前に卒業した大学院生の口頭発表で見た内容と全く変わりません。聞けば一応、グラフはあっても大したないようではないからあえて発表しない事にしたという事ですが全く内容が無いポスターを平気な顔で貼っているのには僕もビックリしてしまいました。この大学院生、最近、あまり大した事をしていないのは知っていましたがまさかここまでお粗末な物を発表するとは…。高エネルギーグループ以外は誰もわからない事だと思いますが少々、あきれてしまいました。他にもうちの学部(本職の化学)の学生がたくさん、ポスターで発表していました。「何を発表しているのか説明して」と数人の学生には聞いて周りもしました。まあそうやってどのぐらい理解度があるかを確かめるのもこの学内発表会の目的の一つと思っています。僕の学生とも始まる前に少し話をして「練習」をしました。また、「もし、こういう質問があったらこう答えなさい」という事も一応、練習しておきました。

後は僕の方で彼らの経験を上手くまとめて四月の末のオックスフォードの学会へ向けてうまくまとめなければ…。学生達の方も三週間後に今度はネブラスカ州の学生発表会(こちらは口頭)があるか。それまでもうしばらく頑張らなければなりません。でも今日の発表会が終わって少し気が抜けますな。

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