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2013年4月 1日 (月)

「二郎は鮨の夢を見る」

「二郎は鮨の夢を見る」という映画をご存知でしょうか?丁度日本では二月から映画館で上映されている様ですね。アメリカで映画館で上映されたのは2011年の事らしいですがオマハでこの手の映画をやっている映画館はない事もないのですが僕はその当時、全く知らずにいました。それから何ヶ月も経って昨年の秋頃(要するにDVDリリースの後)から口コミにちらりほらりと話を聞く様になり、ようやく先日、見る事ができました。僕が話をしてくれたアメリカ人の話では「あれだけ材料から厳選して考えるのはものすごい事だ」との話だったので僕は「ふ〜ん」と思って興味はあったのですがなかなか時間が取れずに今まで先送りになってしまっていました。まあアメリカ人の方ではおそらくどの人も「二郎で日本人」という単純な理由から僕に話をしたのだとは思われますが…。

内容をご存知でない方の為にちょっとした紹介をしましょう。単純に言えば、銀座の「すきやばし次郎」の店主である小野二郎さんのすしに対する情熱と探求とお弟子さんたち(息子たちも含む)の事を描いたドキュメンタリー映画です。田舎で生まれ育った僕は「すきやばし次郎」という店の事を全く知らなかったのでまずは「すきやばし次郎」がどの様な店かという事を調べてそれから小野さんがどの様な方なのかも先に調べてから見ました。

僕がいいな、と特に思ったのは冒頭で「自分の仕事に惚れこまなければダメだ。あれがダメ、これがダメと言っていては、いつまで経ってもまともなことはできない」という事。なるほどな、と思いました。僕は今の自分の仕事が好きです。だから意欲を持って先に進める事ができます。でも心のどこかでそれがなくなったらもうおしまいだろうな、という事も分かっています。多分、それと似たような事なのだと思います。また、昨年の夏に日本にいた時に話をしたある人の話も思い出してしまいました。いくら「いい仕事」を持っていて「いい収入」があっても心が満たされなければダメだ、という事なのだと思います。実はアメリカでもGM先生とかBS師匠とかBM先生とかとはそういう話によくなります。以前にも何度か書いている様に、僕は今のアメリカは資本主義が行くところまで行きすぎた結果、崩壊し続けていると思っているのでお金だけでは満たされないというそういう視点からはむしろ新鮮な事だと思うのですね。

また、アメリカでは基本的にはもう職人という考え方が存在しなくなってしまっているのでそれもまた新鮮に思われるのだと思うのです。確かに流通の問題があるとは言え、アメリカであそこまで食材を厳選するレストランっておそらくほとんどないと思うのです。例えばオマハだと有名な食べ物となると牛肉になるのですがでも「うちのレストランでは厳選した牛の肉しか使っていません」という触れ込みのレストランって基本的には存在しません。もっと言えばもっと田舎(例えば先日行ったサウスダコタのアバディーンとか)では近所に市場もないので店で出すものはせいぜいで問屋から手に入るものをいかに手を加えるか、という事になるのだと思われます。そういう意味では流通の問題もあるにしてもアメリカはやはりそこまでの食材のこだわりがない、と思わざるをえません。料理としての考え方が違って食材の味を生かす料理という概念がそもそもないという事も食材を厳選しない理由の一つと考える事もできますが…。

ただ、ドキュメンタリー映画としては日本人の我々から見たら結構、当たり前の事をしているだけではないか?という気はしました。僕の知る限りではやはり本当においしいものを出すお店は日本ではどこに行っても食材を厳選してそれをどうやっておいしく食べてもらおうか、という事を考えて料理が出て来ます。だからこそ「おまかせコース」なるものが存在しますがそういうメニューの店を僕はオマハでは聞いた事がありません。どの店に行ってもその日のスペシャル(「おすすめ」ですね)はあっても「おまかせ」という事はありません。ましてシェフが出て来て挨拶をしてという事はあり得ませんから客の様子を見て料理を出すという事もあり得ません。でも日本ではレストランでもよくシェフが出て来て、という事があります。そのあたりもお客様に対する対応の違いなのかな、と思って見ていました。

そう言えば、何年も前に読んだマンガ「ソムリエ」こういうエピソードがありました。主人公のソムリエが日本のレストランで働いていた時、フランスの世界的に有名なシェフが主人公の店に変装して偵察に来た時にその時にそのシェフが言った事、服装、料理などを考慮してその場に最適なサービスをする、という一面です。これもおそらく同じ事なのだろうな、と思われます。いかにお客様の事を観察してそれに合わせたサービスを出すか、という事です。マンガの中の話とはいえ、不可能な事ではない様ですね。

さて少し話がそれてしまいました。この小野さん、実は日本でも何度かドキュメンタリーでテレビ番組に取り上げられているそうで、ドキュメンタリーとしては実はNHKの番組の方ができはいいらしいです(当然、僕は見ていませんけど)。まあそのあたりはさすがはNHK、うまくまとめているのではないか、と妙に納得ができます。確かにアメリカのメディアではエンターテインメント性を追求した結果、ドキュメンタリーが疎かになってしまっているのでそのあたりも理解はできます。そういえばこの映画も一般受けする様にしてある一方でやはりどこか上っ面をなでた感じがしないでもありません…。それでも一見の価値はある映画かな、という気はしました。

余談ですがこれを見ておいしいお寿司が食べたくなりました…。オマハでは無理だなぁ。来月、ジュネーブに行く時に友人達とお寿司を食べに行こう。ジュネーブならまともなものがありますから。その後で学会で行くイギリスで食べるという手もありかな?

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