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2013年6月23日 (日)

擬音語と擬態語

英語を話していて時々気になるのは英語には擬音語や擬態語が少ないという事。実はこれは必ずしも正しくはなく、辞書を見ると確かに日本語よりも少ないものの英語にはそれなりに擬音語があるのですが実際には日常的にそれらが使われる事があまりありません。擬態語に至ってはそもそもにそういう概念があまりないのかあまりありません。擬態語に関しては英語版Wikipediaに"Japanese sound symbolism"というエントリーがあるぐらいです。Wikipediaには以下の例が載せられています。

じろじろ(と)[見る]    [see] intently (= stare)
きらきら(と)[光る]    [shine] sparklingly
ぎらぎら(と)[光る]    [shine] dazzlingly
どきどき[する]    with a throbbing heart
ぐずぐず[する]    procrastinating or dawdling
しいんと[する]    [be (lit. do)] quiet
ぴんぴん[している]    [be (lit. do)] lively
よぼよぼに[なる]    [become] wobbly-legged (from age)

しかし実際のところ少なくとも現代アメリカ英語で"shine sparklingly"と"shine dazzlingly"はほぼ同じ意味で捉えられる言葉で「きらきら」と「ぎらぎら」の違いは厳密には捉えられる事はありません。

英語で話をしていて僕が一番不満に思うのが英語ではこのような細かい違いを表現するのが難しいという事。最初の頃は自分の英語の能力の問題だと思っていたのですがどうやらこれはもう英語という言語がそうなっていてそういう語彙がないから、というのがそもそもの問題らしいです。

もちろんだからといって英語が劣っているわけでは決してなく、ただこういう擬態語というものは英語にはない概念なのだろうな、と思われます。そういう概念がないので日本語で物を考えてそれを英語にしている、もしくは日本語で英語の文章を考える、などという時に何となく物足りなく感じるという事があります。英語だけでずっと話をしているとほぼ考える事がないのですが日本語と英語を行ったり来たりしたり英語で話した事を後で日本語で反芻して考える時などに考えてしまいます。

こちらに日本語のさまざまな擬態語を英語でどのように表現するか、という例がたくさん載せられています。あまりアメリカ人が日常的には使わない表現もありますがまあそんな感じ。でも例えばここでは「ぶくぶく泡立つ」をbubble upとしていますがbubble upを逆に日本語にするとただ単に「泡立つ」だけで済ませてしまう人もたくさんいると思われ日本語の擬態語を英語で表現するにはどの様に言うか、という表ではあっても逆は必ずしも正しくはありません。またこの同じサイトの別のページにある擬音語に関しては一部問題もある様に思えます(例えばむしゃむしゃ食べるがmunchでこれが音であるかの様に書いてありますが実はmunchは元々はフランス語のmanger、すなわち食べるという言葉に由来しているので必ずしもこれは音とは関係がない様だったりもします)。

英語でアメリカ人と話をしていてもあまり擬音語ですらあまり使いません。彼らはだいたい日本語では擬音語になるものを文章で表現する傾向にあります。例えば、日本語で「ドキドキする」というのを"My heard is pounding."とか表現します。まあわからないでもありませんがそういう表現を子供までがするのです。そう考えると何となく違うような気がして…。

さて、擬音語の事を考えていて面白い事に気がつきました。英語の擬音語の多くは同じ音の繰り返しではなく、若干違った音を繰り返している、という事です。例えば時計の音は英語ではtick tackだったり鐘の音はding dongという様になります。日本語だと時計は「カチカチ」(もしくは「コチコチ」)で鐘なら「ゴーン、ゴーン」ですからそういう違いはあります。これはおそらく英語では同じ音を連続して発音するという事をなぜか好まないからなのだと思われます。他には英語には例えばflip-flopとかping-pongとかこの手の例はいくつもあります。傾向としては最初がiでそれからaもしくはoになる場合が多く、eやuは使われていない様です(英語圏の人たちの多くに取ってはaとoはある程度は同じ発音になる事がありますからこれも何となくわかるような気もします)。

面白い事に英語では動物の鳴き声にも若干はその傾向があり、犬はワンワンではなくてbow-wowとなります。これも同じ音の繰り返しというのを英語では好まないからではないか?と思われます(まあその割には猫はmeow meowとなったりするのですが…)。でも日常会話で犬がワンワン鳴いているとは普通は言わず、A dog is barking.などと「犬が吠えている」と言います。ちなみに猫の場合はA cat is meowing.となったりします。どちらかと言えば動物の鳴き声の擬音語を使うのは子供っぽい表現と捉えられている傾向にはあり、それが日常会話で聞かない理由の一つではないか、と思われます。大人が使う言葉としてはいわゆる俗語や子供に話しかける時に使う言葉などになる場合が多いですね。

また英語には同じ動物の鳴き声を表現するのにいくつもの方法がある事もある意味興味深い事だと思います。例えば犬を取ってもbow-wow、yelp、woof、howl、whineといくつもあります。猫でもmeow、pur、hissと三つもあり、使い分けがされています。これはおそらく日本よりも歴史的に家畜を飼うという事が長かったから細かい違いが別の言葉になっていったからではないか?と思われます。そもそも、英語では牛とか馬を出世魚の様に年齢などによって細かく分けていますから…。その反面で自然に日常的に聞こえる音の語彙はあまり豊富ではなく、普通の野鳥のなく声は基本的にはtweetのみ。虫の音に至っては擬音語すらが存在しません。この辺りが文化の違いなのだろうな、と思います。

擬態語や擬音語が多く使われているマンガは英語でどのように表現されているのか?と思ったので少し調べてみました。作品によっては単純に日本語の効果音のままの場合がありますがこの様に英訳されている事もあります。

One_piece_eng

まあ英語にされていますね。こちらに日本語、英語と同じページの物があります。

One_piece_eng2

よく工夫してありますね。意外にもこの手の擬音だらけの「ジョジョの奇妙な冒険」では日本語のままになっている様です。

Jojo_eng

こちらについてはもっと詳しい記事がこちらにあります。どうやら翻訳会社が「これは無理」と判断をしたらしいです…。まあわからないでもありませんけど。

ではアメリカの読者はそれをどう思っているのか?となるのですが、実際にはそれほどの知名度があるわけではありません。実際にいったいどのぐらい英語で読まれているのかは全く知りませんが本屋さんに行けば売っているのは確かな様です(でも誰から話を聞いた事はありません)。多分、アメリカ版のアニメオタクが読んでいるのだとは思いますが知名度があまり高いとは決して言えないような印象は受けます。こちらにその辺りの興味深い記事があります。そうですね、僕も読んでなるほど、と思いました。そもそも本をあまり読まないアメリカ人ですからマンガも当然、読みませんしね…。しかもアメリカではやはり「マンガは子供の読む物」となりますし(まあそれでもアメコミの年齢層がだんだんと上がって来ているのも確かなのですけど)。一つ確実な事は十年ぐらい前からアメリカの本屋さんでも翻訳されたマンガが並べられてはいますがあまり手に取っている人はいないという事は確かです。客層が違うからという可能性も多いにあり、コミックストアでは読まれているのかもしれませんが、でもそれではなかなか新しい客層に続かないなぁ、という気はします。そう考えて上の記事はいい所を指摘していると思います。

ではアメコミではどうなっているのか?こういう事が多い様です。

American_comic

まあこんな感じですね。そう言えば昔のバットマンの実写版のテレビ番組でも同じような事をしていました。

これはアメコミから持って来たのを演出したらしいですがまあなんと言うか…。一つには当時(六十年代)はまだアメリカではテレビでの暴力の規制などが厳しかったので、という事もあるらしいですが…。ある意味でこれは迷作だと思います。(しかし、余談になりますが六十年代にこれが日本でもテレビで放送されていたらしく、そのタイトルもものすごい。なにしろ「怪鳥人間バットマン」とかいうものすごいタイトルだったそうで…。でもコウモリなのに「怪鳥」というのもなんだか変な話です)。どちらにしても擬音語と擬態語はこれからも頭を悩ましそうな事になるのだろうなぁ、と思います。

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