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2013年6月16日 (日)

季節労働

アメリカの大学で働いているとそのうちに気がつくのは大学とは季節労働をするところなのだな、という事。どういう事かというと教職の人は九ヶ月契約という事になっているので五月から八月までの夏休みの間にいなくなる人がいる、という事です。夏の間は給料を基本的にはもらっていないので給料がないので来ない、という事になります。さてここで重要なのがこの教職、という事。つまり非教職の人たち(の多く)はそうではないのでそれと関係なしに夏でも仕事に来る、という事です。また教職でも夏の授業を教えていると当然の様に大学にやってきます。

この為に教職の人たちの多くは夏になると姿を見ない人が出て来ます。例えばある先生は夏の間はずっとミネソタ州にある別送に行ってしまいます。五月の半ばに出てしまい、会うのは今度は八月の半ばになるだろうな、と思われます。当然、科学でそういう事をする人は基本的には研究をしていない人です。科学の研究はやはり実験室で行われるので大学の研究室に来ないと研究ができない、となるのですね。例外としては他の研究施設と共同で研究している人ですが数名そういう人がいる程度です。やはり夏の間に姿を消す人たちのほとんどは研究をしない人たちです。それはそれでまあ問題はないのですが中には学生に研究だけさせて自分が夏中いなくなってしまう人が今年は一人程いて…。それはそれで何か問題があったらどうするのだろう?という気はします(事実、先日、その関連で質量分析機の使い方を教える事になったりして…)。

しかし、もっと不思議な事があります。夏の間も授業があるのですがやはり学生の数が少ない。でもいなくなるわけではないので学食なども基本的には営業しています。でもやはり人数が少ないので学食の給仕の人の数は授業のある時の半分以下。寮のカフェテリアに至っては二つあるカフェテリアのうちの一つしか開いていないうえにやはり人の数が減らされているので寮のカフェテリアに至っては普段の三分の一程度。他にも夏の間は一部の寮は閉鎖されてしまうので寮の管理の人も基本的には必要なし。ではそういう人たちは一体、夏の三ヶ月ぐらい何をしているのだろうか?という事が不思議でなりません。実は他にも建物の掃除の人たちでもそういう事があり、どういうわけだか夏の間は掃除をする人たちの数が減らされてしまう事もあるそうです。

そういう夏の間にいない人たちはでも秋になるとちゃんと戻って来ます。だから何らかの契約の様な物があって夏の間は働かない、となっているのでしょうがそういう人たちは教職でも専門職でもないので週給で給料をもらっているはずです。そうなると夏の間は収入がない事になります。週給で九ヶ月、もしくは十ヶ月労働だと働いた週にのみ給料が出る様になっているのですね。そうなるとそういう人たちは夏の間はどうやって生計を立てているのだろう?となるわけです。

おそらく夏の間は他の仕事をしているのではないか?と思われるのですがしかし夏の間だけの仕事って何があるのだろう?と考えてしまいます。学食などで働いている人たちってやはり基本的にはそれをやりたくて働いているわけではなく、そういう仕事がたまたまあったから他の条件などを総合してちょうどよいので働いている、という人たちがほとんどなのですね。そうなるとやはりできる仕事と言うのも限られてきてしまいその上で夏だけとなるといったい何をしているのだろうか?と考えてしまいます。

同じ理屈で夏の間は仕事がないアメリカの学校(小、中、高の先生)の多くは夏の間は自由だそうです。日本では学校の先生って夏の間もいろいろと仕事があって夏休みがないらしいですがアメリカでは実は夏の間は教えないどころか学校に来る義務も全くないそうです。そういう人たちの多くはやはり夏だけ別の仕事をするという事もない事が多いらしいです。ちなみにアメリカではバイト禁止という事はあり得ません。基本的には勤務時間以外は自分の好きにしていい、となるのでそういう規制ができない、という考え方なのですね。だから例えば知り合いの学校の先生は駆け出しの頃、近所のレストランでウェイトレスとして週末に働いたりしていました(そのうち辞めてましたけど)。

一つ考えられるのは夏の間は子供の世話をしている、という可能性。やはり夏休みが長いアメリカで子供がいると夏の間は子供の面倒をどうしようか?という問題。学校があれば学校で日中がなんとかなりますが学校がない時は、となると九ヶ月労働はまあ助かります。もう一つの可能性としては夏の間にあちこちであるイベントで働くという可能性。でもオマハではそれほど連続して行われるわけではないのでそうなると安定した収入というわけにはいかないのだろうな、と思われます。

実際の所、アメリカには教育関係を始めとして期間限定の仕事が結構ある様です。例えば道路工事などは冬の間には基本的にない仕事なので(寒すぎたり、雪のせいでできないのです)、仕事はほぼ、夏の間に限定されるらしいです。他にもやはり建設業では外回りの仕事だとやはり冬には仕事が普通はないらしいです。友人の奥さんの妹の旦那(つまりほとんど他人)は工事現場で働いていたとかいう話で「冬は暇だ」との事。でもその分、夏の間は忙しかったとかいう話です。日本では冬でも道路工事とかが行われていることが多いので少し意外といえば意外ですね。

他にも様々な会社から何らかの理由で出向して他の組織で働く、という仕事も結構、アメリカには多いらしいです。例えば、もう十年以上前になりますが僕の友人がとあるNPOの募金キャンペーンの為に働いていた事がありました。その仕事、確か半年とかいう期限付きの仕事で、その友人は仕事を探していた時にたまたま見つけた仕事で応募して採用となったらしいですが同じ職場の人の多くはオマハ近辺の企業から出向に近い形で来ていた、との事。半年の間、あちこちの企業や団体に働きかけて募金をしてもらう、という事をしていました(アメリカでは、特に田舎の多くの街では歩行者があまりいないので街頭募金という事があまり見られなく、職場などを通じて働きかけて募金となる事が多いのです)。で、出向して来ている人たちはその間は本職をしないわけですからこれもある意味、季節労働の様な物でもあります。こういう事は決して少ないわけではないらしくそういう形態の仕事をしている人は労働期限が過ぎたらどうしているのか?というのは僕には不思議でなりません。まして今の様に景気がいいわけでは決してない時期だとそうそう簡単に仕事があるとも思えませんし…。

ただ、この考え方の方向そのものが間違っている可能性もあります。当然の様に、僕は「仕事をしていて当たり前」という視点から物を見ているのですが「普段は仕事をしていないけど少し収入が必要なので季節労働的な仕事の一つでもしようか」という観点から来ているのかもしれません。僕にはさっぱり理解できませんがアメリカではどうやらあまり仕事をしなくても何となくある程度の生活ができてしまう事がある様で、そういう人たちなのかもしれません。例えば友人のある人はもう何年間も働いていません。でこの友人の奥さんも働いてはいますが定職はなく働く時は働く、という様な仕事。一体どうやって生計を立てているのだ?と不思議でなりません…。そういう人たちから見るとこういう期間限定の仕事は都合がいいものなのかも知れません。そもそも、一般のアメリカ人の労働意欲は低いですからね(恐ろしい事に大学の職員ですらそういう人がいますから…)。

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