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2013年9月 1日 (日)

ポスドクC君

このところしばらく、五月の半ばからうちのグループに来たポスドクのC君に色々と頭を抱えています。このC君、実はスリランカ人なのですが僕が個人的に知っているスリランカ人は実に働き者。ネットで調べた限りでは必ずしもスリランカ人は働き者でもないようなのですが外国まで勉強に来ている、もしくは研究に来ているスリランカ人の人たちは僕が知っている人たちはみんな働き者、という感覚でこれまでいました。ところがこのC君、一体何をしているの?と首を傾げるばかりです。

五月の半ばにうちのグループに新しくポスドクとしてやってきたのですが住んでいるのはロングアイランド。ロングアイランドの研究所に駐留しているのです。僕が最初に何かがおかしい、と思ったのはかなり早く、六月の終わり頃の話。その頃、ボスは既にCERNに行っていて僕はまだオマハにいます。六月の頭にSTAR実験の制御の基礎を教えなければならない、という事で研究所の別の実験施設の知り合いの方にトレーニングをする予定があるかどうかを尋ねたら「今の所は予定がない」との事。仕方がないから春学期に僕が学生達にやらせていた事を拡張してとりあえず僕が教えよう、と思って教材をまとめて「まずこれだけ。終わったら次を送るから教えて」と一週間分ぐらいを送りました。

ところが二週間ほどしても全く何も言って来ません。おかしいなぁ、と思ったので毎週のミーティングの時に「調子はどう?」と尋ねたらどうやら全く手を付けていない感じです…。その直後に突然、質問のメールが来始める始末…。ところがその直後、またメールで質問が全くなくなります。それから一週間程して同じ研究所の別の同僚から「次を送ってくれ」との事。でもちゃんと出した課題をやったかどうか全くわからないので「確認をして」と頼んだら実はまだ最初の課題を終わらせていない事が発覚…。それから突然、メールで質問が増えます。実はこの段階で教えた事は春の学期に僕が学生にやらせた時、週一で会って三週間程度で終わらせたことばかり。当然、学生達は授業を取っていたのでほぼ片手間にやってできたという程度の事。それを三週間ちょっと過ぎた職員ができていない事になります。

さすがにその段階で僕はおかしい、と思ってのでその事を指摘したらほぼ、逆切れとしか思えないメールの返信が来ました。曰く、「私の事をどう思っているか知りませんが、今までの所、三時間程度しか時間を費やしていません。こればかりを一日中しているわけではない」との事。いや三週間で三時間しかしていない?おかしいだろう?それは確かに解析をしなければならないから他にも仕事はあるはずだが、三週間で三時間はあまりにお粗末。更にそれをいけしゃあしゃあとよく僕にそういう事を書けるね、とこっちがあきれてしまうぐらい…。

その段階でかなりの危機感を感じていたのですぐにボスにメールを出したら意外な返事が返って来ました。実はその時、ちょうど、CERNの実験の新しいポスドクの募集を始めた頃で、僕がたまたま人づてに東京大学の大学院生のTさんの話を聞いてとりあえず東京を通過する関係上、一度会ってみよう、と会ってきたばかり。同時にボスの方でもたまたまちょうどいい人材にCERNで会った頃。そこで、ボスはC君がこの調子だったら首切りをして東京大学の子とCERNの人で何とかしようか?と言って来たのです。もちろん、その時は「最悪の事態でも」との事。まだしばらくは様子を見ての話でした。

その後、結局、C君は未だに本来ならば二ヶ月程前に終了していたと思われる所を未だにやっている程度で学生が数週間で春学期にやった所から全くほとんど進展していません。ではその間に解析の方で進展があったのか?といえばこちらもほとんど進んでいないらしいです…。ではいったい何をしているのか?とすごい気になります…。

あげくの果てには先日、僕も聞いてビックリしたのですがなぜかやたらと「必要経費」が多いらしく、経理の方でかなり文句が来ているそうです。しかし、僕もCERNやBNLに出張や長期滞在した事がありますがどう考えてもそんな必要経費が出ないはずななのですが…。どういう事?と首を傾げる始末。実は経理の問題の方はかなり深刻らしく、経理の上の人から目を付けられている上に、事務の人までもが「首にするべきだ」とすら言っているらしいです。いったい何をしているの?と不思議でなりません。

少し話は前後しますが、七月の終わりにCERNのポスドクの面接をSkype経由で行いました。僕は東京大学のTさんの応援も兼ねて参加しました。もう一人の候補者のMさんとはその二週間程前にSkype経由で話をしていたのでまあどういう人かはわかっています。実はこの時、手違いでMさんの面接は参加ができず、Tさんの面接のみの参加となりました。僕は最初からTさんを薦めていたので面接の後、それらしき事を書いて送っておきました。八月の頭にアメリカに復帰して最初にボスに訊いた事がポスドクをどうしたか?という事。結局、Mさんになった、との事で僕は少しがっかりしましたがある意味、相手が悪すぎました。実は相手のMさんはCERNのフェローをした人でかなり優秀な人。唯一の「問題」はフェローまでやった人がうちのポスドクでは「後退」ではないか?という事。実は今、高エネルギー物理学では仕事がなくてたいへんらしいです

その事に関しては最近、こういう記事がありました(英語のみです、ごめんなさい)。かいつまんで説明をすると、この業界ではLHCが稼働する前の年の2007年に142の修士、もしくは博士論文が出ましたが、昨年は327の論文が出たそうです。それに引き換えこの業界のポスドクの仕事は124しか公募されていません。これがどこかの大学や研究所でもっと恒久的な職になるともっと少ない、となっている、との事です。なかなか仕事がない、という厳しい現実がある様です。そうなるとCERNのフェローをした人がこうしてどこかのポスドクの職を探す、というのはある意味不思議ではないのかもしれません。

ただ、そういう事を考えてC君は死ぬ程一生懸命しなければならないんじゃないの?という気がします。実はボスの方でも先日、ついにC君にかなりはっきりした事を書いたメールを送った、との事。これで改善しなければもう後はない、との事です。正直なところ、ここまでのC君の経過は昨年の十月にBNLへの出張から帰って来てからボスと相談した「最悪のパターン」の一つです。昨年の十月にボスに僕が言ったのは僕がいるから、と仕事をしなくなる様なポスドクや異常に僕の仕事が増えるポスドクでは困る、という事。実際、今の所はかなり仕事が無駄に増えているという事もできます…。ある意味、何もしないから仕事が増えていない、という意見もあるのですが…。ただ、現時点ではかなりトンチンカンな事をC君は平気な顔で言って来るので(例えば僕が「イーサーネットは直結ではない」とはっきり書いたメールに「直結している機器ってイーサーネットでつなげてある物の事ね?」と書いてきたり…)これから実際にSTAR検出器の立ち上げに従ってもっとものすごい質問が増える様な気がしてなりませんし…。

実はボスと先日話をしていてビックリ下のはC君を首にするとしたらMさんをBNLに連れてきてTさんをCERNに置きたい、と考えているらしいです。解析の内容その物は実はMさんのほうがBNLに、TさんのほうがCERNに合っているらしいです。僕としてはダラダラと物にならないCさんを使うよりはさっさと首切りをしてしまった方がいいと思うのですが…。まあ今の所はC君も「執行猶予」らしいです。しかしまあ、新しい職についてすぐだと普通、一生懸命するものだと思うのですがねぇ…。僕には不思議でなりません。

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