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2014年6月23日 (月)

炊飯の研究

前に一度、超音波と炊飯について書きました。その時にある日本の炊飯器メーカーは超音波ではなく減圧と加圧をしているらしい事を知りました。具体的には釜内を真空にする事で米の吸水が均一的に行われる、との事。なるほど、真空にする事によって米から空気が出る事によってその後で吸水されやすくなる、とはまあ理屈にかなっています。

ところがその後、もう少しよく調べてみたら真空にするのはすでに水に浸してあるお米でそういう意味ではお米が真空状態にさらされるわけではないらしい、という事がわかりました。いくら容器を真空にしても水の中が真空になるわけではないので(水圧はほとんど変化しないはず)これはおかしくないかい?と疑問に思ったのです。そこでこれは一度実験をしてみないとな、と思って数ヶ月。真空引きをするとなるとやはり家ではなかなかできないので学期が終了して夏休みに入るまで保留状態になっていました。

まずは実験室で真空をどのように作り出すか、から始まります。調べてみると圧力はせいぜいで0.5気圧なのでそれほど高い真空ではありません。その程度ならわざわざ真空ポンプを使うまでもなく、アスピレーターを水道に取り付けるだけでいいだろう、と判断をします。アスピレーターはだいたい室温で0.03気圧程度まで減圧できるのでそれで十分です。

次は容器の確保。真空にできれば何でも基本的にはいいのでこれは実験室の真空デシケーターを使う事に。デシケーターは本来は試料を乾燥した状態で保存する容器で真空デシケーターは更に真空にしておく事で乾燥状態を保つ、もしくは空気で変化する試料を保存する様に作られたものです。

Desiccator

具体的には蓋の一番上がすりガラスになっていて一つだけ穴があいています。その外側に別のすりガラスの栓があって真空にする事ができます。

さて、では実際に減圧してみたら…。超音波の時と同じでどのぐらいの間、減圧すればいいのかさっぱりわかりませんがとりあえず十分間だけ減圧してみる事にしました。またこの場合は簡易的に減圧させているので圧力計もないのでどの程度まで減圧されるのかもわかりませんがだいたい0.03気圧程度までは下げられます。東芝の炊飯器が0.5気圧まで下げているのと比べるとかなり低くできる事になります。

Vac1
Vac2
Vac3
Vac4
Vac5

そういう事を考慮してまずは二分間、減圧してその段階でまず一度栓を閉じる事に。ほぼ変化がありません。そこでもう少し減圧をしてみる事にしてもう一度、栓を開けてみます。待つ事数分、だんだんと内側が少し曇ってきました。これは水が低圧の中で沸騰するので説明はつきます。

Vac6

ところがよく見ると水が常温で沸騰するにつれてお米も吸水している様です。

Vac7
Vac8

最終的にはこの様な状態になりました。

Vac9

これはどう見てもちゃんと吸水したお米です。でもいったいどういう理屈なのでしょうか?本当に東芝が主張している様に真空引きを行う事によって吸水を高めているのでしょうか?個人的にはちょっと東芝の説明は受け付けられません。水の中の圧力はいくら空気の圧力を変えても変化がないであろう、と考えられるからです。実証したわけではないので何とも言えませんがおそらく、空気を減圧する事によって水の沸点が下がり、それによってまず水から水に溶けていた気体が抜ける。それによって水の純度が若干高くなる事がまず多少の影響をしているのだろう、と思われます。また水が沸騰する事により撹拌がされる。それによってただ座っているよりも吸水がよくなるから。また沸騰する事によって何らかの他の影響があるからではないか?と僕は考えています。

さて、こうして吸水が真空下で行われる事は確認しましたが実際に本当においしいのか?までも実証しなければなりません。そこで、その直後に実験室から会議室に場所を移してお米を炊いてみました。別に会議室に動かなくてもよかったのですが実験室だといくら週末でも炊飯をするわけにはちょっといかない、と思ったからです。会議室にはコンロがないので家からIHコンロを持参しました。

Vaccook1
Vaccook2

実はこの部分は後にもう一つ実証してみる事になる部分で、IHで炊飯をした事がこれまでなかったのです。その事は前日の晩に考えましたがとりあえず真空引きで吸水したお米は職場でないと簡単に作れません。だからどうしても職場でやる必要があります。でも職場で炊飯をしようと思ったら他になかなか方法がありません。だからまず、その部分を実証してそれからIH炊飯を超音波で吸水した物で確かめる、という方法を取る事になりました。

さて、その炊飯の方ですが少し硬めに炊けたもののビックリしたのが若干のお焦げがついていたと言う事。

Vacdone1
Vacdone2
Vacdone3

よく見るといわゆるカニ穴らしき物も見えますし…。実際の食べた感触もちょっと硬いけどおいしい、そういう炊きあがりでした。しかし、この炊きあがりの半分以上はおそらく炊飯の仕方の違いから来ているのではないか?という疑問が生じました。

元々、IHで炊飯をするとどうなるのか?という疑問はあったのでそちらの検証を家でその後も続ける事にしました。最初にやってみた時の写真がこちら。

Ih1
Ih2
Ih3
Ih4

この時のIHの条件は真空で吸水をした時とほぼ同じ。やはり似た様な感じで完全ではありませんが若干のお焦げができつつある若干、硬いご飯になりました。味もほぼ同じ。ご飯の硬さにも日本では一般に東の方が硬く、西の方が柔らかい傾向にあるそうです。そう言えばその昔、東北に行った時はご飯が少し硬いな、と思った記憶があります。でIHでこの条件で炊いたお米は僕にはちょっと硬いな、という程度でした。金沢はおそらく少し柔らかめに炊くのが一般なのではないか?と思われます(がこちらはデータ不足で実証不可能です)。

まあご飯が硬いのなら単純には水を増やせばいいのでそれからしばらくはお米は水の量を調節しながらIHで炊いてみました。そのうち、どうやらなるほど、これならば、という条件が何となく見つかりました。基本的にはお米よりも水の体積を1.5倍程度にして沸騰するまではIHの高温で熱して、沸騰した段階で蓋をして中火。それを七分、それから弱火にして五分、最後に三十秒だけ強火にもどしてから後はIHの電源を切って五分から十分ぐらい蒸らす、という条件で炊いてできたのがこちら。

Ih21
Ih22
Ih23
Ih24

最後の写真、見えるでしょうか?明らかなお焦げがついている事が?それでいてそれほど硬くはない、そういうご飯がIHで炊ける様です。IHコンロを使うのでガスコンロの場所も取らないし、またガスと比べると熱くないという利点もあり、夏場にはちょうどいいと言えばちょうどいい事でもあります。おそらく、もう少し改善の余地はない事はないのであろう、とは思われますがこれからはやはりIHで炊く事になりそうです。

ここまで書いて関連した項目ながらもどこにも特に当てはまらなかった事をもう一つ。最近、新しく超音波洗浄機を購入しました。

Sonicator

これまで使っていたのは実験室から借りてきた物。確かに僕の実験室から借りてきていますしそもそも僕が何年も前に閉鎖になった医学部の実験室が捨てる所をもらってきた物なのでそういう意味では「僕の持ち物」なのですが職場で時々、使う必要があるので家に置きっぱなしというわけにもいかず、結局、安い物を一つ買う事にしました。この超音波洗浄機の利点はまず場所を取らない(実験室からの洗浄機の一番の不満は大きい、という事でした)。またタイマーがあるので勝手に止まってくれる。買って使い始めてわかったのがあまりうるさくない、など基本的には利点ばかりです。これからもお米の吸水は超音波を使って、という事になりそうです。

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