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2015年1月29日 (木)

(十何年ぶりの)デート

事の発端は昨年の夏のある夜の事。ある日本のドラマを見る機会がありました。馬鹿馬鹿しい、と思いながらも実はハマってしまって結局夜中の三時頃まで連続して全部見てしまった事がありました。その中でちょっと衝撃的なセリフが「いつか目標の山に登山成功するためには、他の山にも登ってみる必要があったりもするでしょう?」というセリフ(はい、ネタバレです)。僕にはちょっと衝撃的なセリフでした。実はそういう考えを持った事が一度もありませんでした。僕は単純なのでそういう考え方をこれまで一度もした事がなく、かなり衝撃を受けました。二日ほど考えてそれも悪くはないな、と思うようになりました。

とは言ったもののではどうしたものか?としばし考える事に。正直なところ僕の生活はほぼ職場と家(とスーパーに買い物)の往復からなっているので出会いがありません。さすがに学生に手を出すわけにはいかないので出会いを考えるとまあ大学の他の職員に限定されてしまいます。その上、僕は別に誰でもいいというそういうタイプの人間でもありませんし…。とりあえず誰でもいいから付き合ってみようか、という考えではありません。どちらかと言えば人嫌いでごく軽い対人恐怖症の傾向がある僕には「どうでもいい人」とたわいのない話をする程苦痛な事はないのです。

アメリカという自己主張の必要な国で若干の違和感と問題があるなあ、と思いながら暮らしてきてこれでずいぶんになります。知らない人と会うとそもそもかなり多くの事を説明しなければならないのでそれも億劫で面倒くさい。ちゃんと説明しても具体的に僕がどういう仕事をしているのか、という事はチンプンカンプンという事もまあ普通。いろいろな意味でまあ普通の人ではないのも問題と言えば問題です。

それでも全く対象になる(かもしれない)相手がいないわけではありません。この二年程少し気になっているのは別の学部のある先生。気になってはいてもそれはそれ、と思っていましたしちょうどその先生がうちの大学に来た頃は日本にいるある方に片想いをしていた頃なのでこちらでは全く動かない事に。それでも日本での片想いがどうにもならないな、とちゃんと自覚して諦めてからも何もしないでずっといました。しかしこの日本のドラマを見てちょっと動いてみようかな、と思いました。

とは言え、そう思ってもなかなか実際に動けません。相手の事を考えすぎてしまって忙しい時に負担になりたくない、という事をする傾向にあるのでなかなか動こうとしても動けない、という事が僕には多いのです。結局、最終的には秋学期の間は保留する事に。相手が忙しい、という事がはっきりしていたからです(まあそういうのが建前でただ単に僕が動かなかったという話もありますけど)。同時に大学の職場恋愛のルールがどうなっているのか?という問題も若干ありましたしいろいろな側面をまず考える必要があった事もあります。

それでもしばらく前、十二月の期末試験の週の金曜日にその先生と話を少しする機会がありました(前々から時々話はそもそもしてはいたのですけど)。実はこの時、僕は彼女の事を誘ってみようかな?と考えてはいました。まあ当たり前の話ですが学期が終わったので(僕も含めて)みんな少し余裕があるのですね。ところが僕が話を切り出す前にその週末から一月の頭まで実家に帰るらしい事が判明したのでとりあえず(また)保留にしておく事にしました。まあこればかりはどうしようもない事ですからね。

一月の頭に彼女がオマハに帰ってくる頃には僕がジュネーブに出張で留守なのでまた先だなあ、と思いながらジュネーブで仕事をしながらある日、ふと彼女にお土産の一つでも買っていこうか、と思いました。ではいったい何がいいのか?としばし考える事に。ジュネーブのお土産ならば時計やオルゴールがあるのですがさすがにちょっとなかなか手が出せる値段ではありませんしあまり高級な物だとかえって引かれてしまう可能性もあります。カランダッシュはジュネーブなので万年筆という手もあるのですが万年筆を使うかどうかも疑わしい(僕は女の人で万年筆を使うというのはおしゃれだと思うのですけど…)。やはり一番無難なのがチョコレートか、ということでチョコレートを買っていく事に。

さて、ジュネーブから戻った最初の日は車のバッテリーが上がっていて車が動かなかったりとちょっと出鼻をくじかれたのですがそれでも夕方近くになってから彼女のオフィスを訪れてチョコレートを渡してきました。実は直前まで何と言って渡そうか?と散々迷ったのですが単純に渡す事にしました。なんだか小細工をするよりも少しぶっきらぼうにでも素直に渡した方がやっぱり自分らしい、そう思ったからです。

渡した時の彼女の反応も単純でしたが「私の事を考えてくれてありがとう」と素直でちょっと新鮮でした。僕はてっきり「どうして?」と聞いてくるか?と思っていました。実はそう聞かれたらこう答えて誘おう、という事を考えていないでもなかったのですが彼女の反応に「おや?」と思ったのもあってちょっと保留。三十分ぐらい色々と話をして別れる事に。その場で誘う事を考えはしましたがあえて誘わない事にしました。数日の間を置いてそれまで僕の事を考えてもらってそれからでもいいのではないかな?と思ったからです。単純な僕には難しい事なのですがこれもある意味の駆け引きなのかな、と思います。

さてその週明けの月曜日の夕方にようやく意を決してデートに誘ってみました。なぜ夕方か?答えがどちらに転ぼうとも多分、誘った後は仕事が手につかないだろう、と予測されたからです。だからあえて夕方。また向こうの方にも教える前にそういう誘いを受けて授業に影響があったら困るな、と僕の方で自粛をしたのもあります。誘ったのはあえてランチ。その方がプレッシャーも低いし僕自身も本当に彼女の事をどう思っているのかを見極める必要性がある、と思ったからあえて敷居の低いランチにする事に。ちょっとドキドキしながら誘ったらすぐに「いいわよ」と即答が返ってきました。

行き先はいろいろ考えたのですがベルビューでミード(蜂蜜酒)の醸造をしている店があるのでとりあえずそこに行く予定です。一応、その店の事を知っている友人に食べ物などもおいしいのか?という事を聞いて調べてはおきましたが行った事がない店だからちょっと心配と言えば心配…。でもその店に関しては少しお互いに興味があるとわかっているのである意味安全牌の店だろう、と判断をしました。

彼女の住んでいるアパートまで迎えに行きたいからあえて「昼頃に迎えに行くから住所教えて」とメールで翌日、送る事に。ついでに電話番号の交換もしておきます。返信が来るまでずっとドキドキしてなりませんでした。気が変わった、と断られたらどうしようか?家に迎えに行くのを嫌がられたらどうしようか?などいろいろな事が頭のなかでグルグル回っていましたが結局問題なく土曜日の十二時に迎えに行く事が決定。

彼女からのメールの返信が届くまでの間に気がついた事が一つ。どうやら思っていたよりも僕は彼女の事が好きな様です。そうでなければここまでいろいろ心配したりしないはず…。自分でもこれはちょっと予想外。そのせいか火曜日から今週はずっと少し注意散漫気味…。だから今週はあえて彼女に会いに行かない事にしました。別の学部とは言えどもこれもやはり職場恋愛。だから適度な距離を保つのがお互いのためなのだろうな、という判断をしました。

デートを成功させたいのでデートをどうすれば成功させられるのかを調べて見る事に。ネットのある今の世の中、調べてみたらあちこちにデートの指南書の様なウェブページが探せばたくさんでてきます。これはこれで僕の様な単純な人間にはたいへん便利な物なのですがそれらを読んで幾つか思った事が。まず若い頃に僕がしていた事はどれもこれも間違った事ばかりだった、という事。例えば二度目のデートを一度目のデートの間になんとかまとめようとする努力をする、なんて考えたことすらもありませんでしたしまた最初数回のデートはお互いの事を知るための物であるとか若い頃にそういう発想は全くありませんでした。若い頃は何をしてたのかな?と自分でも呆れてしまいます…。

今のところの問題はとりあえずお互いの為に少なくともしばらくは誰にも言わずに秘密にしておきたいので誰かに話をしたくてもできない、という事。大学に繋がりがない人なら話をしてもいいのでしょうがでもよくよく考えたら僕の場合はオマハにうちの大学とどこかで繋がっていない知り合いがそもそもいません。だから誰かと話をしたくてもできない状態でこれはこれでちょっとつらいです、少なくとも今の所は(まあだから今回はこの話を書く事にしたのですけど…。このブログの読者でうちの大学に直接の繋がりのある人はいないはずですしいてもよほど状況に詳しくないとどの学部のどの先生が相手かわからないはずですから…)。

どちらにしても土曜日が楽しみな事は確かです。この歳になってデートでドキドキするというのも変な話と言えば変な話なのですが楽しみは楽しみです。土曜日の結果次第になりますが一応、僕の頭の中では少なくとももう二回程先のデートまで少し漠然ながらも予定は立ててありますし…。これも以前ならば考えもしなかった事ですね…。

実はオマハでデートをするのはなんと十年以上ぶりになります。それも今世紀になってからデートをした記憶が全くなく下手をすれば十五年以上オマハでデートに行った事がないのかもしれません。デートの前ってこんなに落ち着かない物だったかな?と少し不思議に思ってもいます。十何年も前の話だとそのあたりの記憶が少しあやふや…。オジさんになった今の方が若い頃と比べて感性が鈍っているはずなので若い頃の方が毎日ドキドキしたはずなのだけどそういう記憶がないな、と少し不思議。それともこの先生の事をそれほどまでに好きなのかな?若い頃の方が多分、今よりも情熱的だったと思うのだけど…。

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