« 十年前の夏に | トップページ | CERNへ出張(2015年春 その二) »

2015年3月 9日 (月)

CERNへ出張(2015年春 その一)

春休みの今週はまたCERNへの出張です。今回は今週、CERNでALICE実験の会議があるから行く事になりました。それを決めたのが一月にまだCERNに出張で行っていた時の話。その時の調子から見て「行った方がいいな」と判断をしたからです。で、それから一月半程になる今では、「行く事にするんじゃなかった」と実は後悔していました。

あまり行く気になれなかったのにはいくつか理由があります。まずは帰って来てすぐに化学のショーの練習が待っている事。三月二十八日にまたショーをやるのです。そのリハーサルが日曜日、二十二日にあるのでそれまでに練習を全部終わらせなければいけない計算になります。今回は僕が総監督なので実際にショーをするのは僕。したがって練習も僕次第になってしまいます。一週間で練習をすべてこなした事はあるのですが…、かなりきつくなるであろうと思われます。

もう一つの理由は当然の様に一週間出張に行くと彼女に会う事ができないからです。これも一月の段階では全く想定外の話。確かに一月にCERNにいた時に彼女の事を誘ってみよう、と本気で決意はしましたがこんなにうまく行くとは全く考えもしませんでした。正直、せいぜい二度ぐらいデートしておしまいかな、とぐらいに思っていました(もっともその割には最初のデートの時から次を考えていたりもしたのですけど、それでも予想外にうまく行っていて僕も驚いています)。

その彼女とは僕が出張に行くので無理を言ってその前日の金曜日の晩にデート(もっとも彼女の方もデートに行きたかった様ですけど…)。彼女と初デートが一月三十一日だったのでこれでほぼ一月、定期的に彼女とデートを続けている事になります。彼女も最近は忙しい所に僕がちょっかいを出していらない時間を取らせてわるいなあ、と思っているのでその事を言ったら「実は、今年の抱負は『もう少し楽しめる事をしよう』だったし一人だとそう思っても多分、なかなか何もしなかただろうからちょうどいいの」との事。それを聞いて僕はちょっと驚きました。実は僕の今年の抱負は「彼女と仲良くなる事」だったからで偶然ながらもほぼ一致しているのですね。僕は運命論者ではないので単なる偶然、と考えますが運命を信じていたらそう思うでしょうね、きっと(僕は運命は自分で切り拓く物、と思っているのです)。

彼女のネコの一件から最近、少し二人の仲が近くなったかな、と思う今日この頃。僕としてはもう少し進展が早くてもいいかも、という気はしますが彼女は僕よりも慎重で少し早すぎるかも、との事…。まあ彼女の気持ちは尊重したいし彼女は大切なので焦らずに進めたいな、と思います。それでもしばらく前の夜に彼女に恋い焦がれてどうしようもなかった時の事を話したら「そういう時は我慢しないで会いに来て」と優しい言葉をかけてくれたりデートの帰りなどには車の中でもキスをしてから別れるのが普通になったりとお互いの事を想い合っているのは確実な様です。僕が「君とのこの関係を大切にしたいから先走りしない様に気をつける」と言ったら「もしそうなったら先に教えるわよ」との事。彼女の方でも同じように大切に思っている様です。

さて明けた土曜日の朝。九時過ぎにボスが迎えに来ました。今回はボスと解析のボスのJS先生と僕の三人での出張。国際線の飛行機で誰かと一緒に飛ぶのはほぼ初めて(厳密には高校生でアメリカに来た時がそうか?)。そういう話をしながらゲート前にいたら飛行機がオーバーブッキングされているとの話。まずは600ドルで次の便に乗れる人、と言っていました。この段階でボスが「君、どうせ月曜日に出席する会議もないからやったら?」だったのですが何となくそういう気になれずにそのまま待機。ところがその五分後にいきなり1000ドルに値段が釣り上がり、その段階で1000ドルならば、と結局、翌日の飛行機に乗る事に。

それでも空席がもしあったらそのまま飛べる、との事で他の乗客が全員乗るまでゲートで待機。その間に空港から家まで連れて行ってくれる人を探します。もちろん、一番最初に連絡を取ったのが彼女。「空港まで来て家まで連れて行ってくれる?」とメッセージを送ると「いいわよ。でもどうして?」との事。事情を説明して「まだ決まっていないから」と説明をする事に。結局、それから翌日の飛行機に乗る事が決定したので彼女に迎えに来てもらう事になりました。

唯一の問題は僕の荷物がどうなったか?という事。ニューアーク行きの飛行機に乗ってしまった事は確実なのですがその後はニューアークで一日保管されてから翌日に僕と一緒にジュネーブに行くのかそれとも先に行ってしまうのかは係員の人も「わからない」との事。まあオマハでそのまま回収しなくていいのでとりあえず関係はありません。オマハに住んでいるので服も全部あるので一日ぐらいは何ともありません。

空港で待つこと三十分、彼女が迎えに来てくれました。彼女でなくても誰か友人を捕まえる事ができたのでしょうがこういう時に彼女がいてよかった、と本当に思いました。僕が彼女に特に融通をきかせるのと同じ様に彼女も僕には融通をきかせてくれている様です。彼女は今週は大学時代の友人が日曜日の晩から木曜日まで遊びに来るとかいう事でその前後は一生懸命仕事をする、と言っていました。その事情を知っていて悪いな、とは思いましたがそれでも一番に連絡してみたのは彼女なのですね、やはり。彼女に家まで送ってもらってから残り物で簡単な昼を食べてから同僚の先生に電話をします。その日、たまたま引っ越しをする予定で助けを探していたのを知っていたからです。聞けば三時から別の先生が手伝いに来るとの事。それに合わせて二時半頃に行く、と約束してそれまでちょっと休憩。

その後、結局、夕方すぎまで引っ越しの手伝い。それからピザの夕食をごちそうになって帰宅したら七時過ぎ。同僚の先生からは家の片付けの過程でこちらを頂きました。

Tfo
これはその昔、SG師匠が実験結果の結果のカードに使っていたスタンプ。RECALCULATEは文字通り、「計算しなおし」ですがちょっとわからないのがTFO。これは"Too Far Off"の略で「実験結果があまりに悪く成績にならない」という意味のスタンプです。これをもらうとほぼ参加賞的に自動的に60点がもらえますがそもそも実験結果で60点ってあまりにも悪い、という事になります。もちろん、学生たちの間ではTOFは"Totally F*cked Over"と独自の解釈が当然存在します…。SG師匠が引退した時に師匠がGM先生に渡したのが今度はGM先生が引退近くになったので僕に渡す事にしたのです。そういう事も考えていろいろな意味でものすごく光栄なスタンプだと僕は思っています。

さて明けた翌日の日曜日。たまたまアメリカでは夏時間が始まる日でいつもの時間に起きても一時間遅れて起きるちょっと不思議な日。本来ならばジュネーブに行ってしまっているので全く関係がないはずなのですがそれでも1000ドルの代償と思えば安い方です。寝ている間にボスからメールがあって僕の荷物をジュネーブ空港で見たので回収してきた、との事。これで荷物を心配せずに直接空港からCERNのオフィスまで行けばいいので一安心です。

空港まではまた彼女に前日に頼んであったので彼女が家を出る前にメッセージをくれるまでは待機です。彼女の所から僕の所までは三十分ぐらいは普通はかかるのですが今日は二十五分ぐらいで着いたそうです。まあ夏時間の始まる日の朝十時ころだとまだ空いていて当たり前ですよね…。予想外に早く起こしてしまってちょっと申し訳ないなあ、と思いながらも彼女とあえてうれしい、と思うそんな朝でした。彼女にはまず『おはよう。ありがとう」に続いてその日がたまたま国際女性デーなので"Happy International Women's Day"と言う事に。もちろん、彼女がそういう事に敏感である事を知っているからです。まあ若い女性の科学者がそういう事に敏感なのは当たり前といえば当たり前です。まして本人は自分がフェミニストと自覚していますから(といってもそれほど過激ではなくて男女平等でなければならない、と考えているだけなので全然、問題がない程度です)。

空港までの道はいつもの様に話をしながら少し楽しい一時をすごします。別れ際にいつもの様に軽いキス。バレンタインに僕の家で行った三度目のデート以来、プライベートで会う時は別れる時にキスが普通になっています(職場で話をしに行く時はさすがにしていません)。多分、僕の方が彼女にキスをしたいのですがそれでも彼女もそれを嫌がりません。まあアメリカ人ですからキスをするのはある程度普通と言えば普通なのですけどね…。彼女には「君と一週間会えなくて寂しいと思う」と言ったら「でも予想外に昨日も今日も会えたし、出張も一日短くなったじゃない」と言われました。確かに。それで別れ際に「友達と楽しんでね」と言って別れました。僕の事を友達にどう説明するのかな?とちょっと不思議。お互いにお互いの事をボーイフレンド、ガールフレンドと呼んでいないのですね、僕らはまだ。それでももしかしたら友人には僕の事をボーイフレンドって言うのかな?と思うとゾクゾクします(それとも面倒くさいから僕の事を友達に言わないのかな?その可能性もありそう…)。まあ僕としてはこのしばらく、彼女はいろいろと仕事でも忙しかったり問題児の相手をしなければならなかったりだった上に個人的にもかわいがっていたネコが死んだりといろいろあったわけで少し息抜きをして欲しいな、と思うのでぜひ友達と二人で楽しんで欲しいな、と思います。もし僕がオマハにいたら僕にも紹介してくれたのかな?という気はしますがでもそうなると多分、僕に気を遣ってしまうのである意味ではこうやって僕が出張で留守というのも悪い事ではないのかもしれません。

その彼女に空港まで送ってもらって待つことしばらく。空港についてから事もあろうにiPodを忘れて来た事に気がつきました。僕は運転する時ぐらいに使うぐらいで普段からiPodをヘッドホンで聴く方ではないのですが飛行機の中では話は別。機内のうるさい音をかき消す為にノイズ・キャンセリング・ヘッドホンと共に使います。さすがに何もないのは困るのでしばらく考えてから一時的にとりあえずいくつかのアルバムをMacからiPhoneにコピーする事に。今のiPhone 6には十分に容量もあるのでとりあえず聴く分ならば痛くもないな、と判断をしました。

さて今回の航路は前回と同じでオマハからニューアーク空港へ行き、そこから乗り換えてジュネーブまでと一番単純な航路です。飛行機に乗り込んでまずは自分の席がどこかよくわかっていない太ったおっさんとのやりとり。どうも全く旅慣れていない人の様で勝手に窓際の席に座る事にした様です…。指定席なんだから僕が窓際の席といったらそれまででしょう、まったく…。まあ実はよくある話なのですけどね、アメリカでは。

ニューアーク行きの飛行機はほぼ満席。まあ小さい飛行機なので当たり前と言えば当たり前なのですけどね。前日、僕が行かない事にした時の係員の話では「もっと大きな飛行機にしても問題は多分ない」との事ですから(もっとも小さい飛行機だから僕は1000ドルの得をしたのですけどね)。しかしまあ隣のおっさん、太っていたので座り心地が悪かった事。なにしろ自分の席にようやく収まるぐらいなので僕の席まではみ出していました。こういう人と僕が同じ料金で乗っているのがちょっと何だか間違っている様な気がしてなりません…。

ニューアークに到着したのは三時過ぎ。オマハを出たのが昼前なので昼食も食べていないのですが夏時間への移行とオマハとの時差の関係上、僕の体にはまだ午後一時になります。普段から昼を食べるのが一時近くになることが普通なので少し「遅め」の時間ながらニューアーク空港で昼食となりました。

Lunch
まあ空港ご飯なので大したものではないのですが…。ニューアークにはまだ雪が残っていました。オマハはもう春の容器なのでそれと対照的です。まあ東海岸はつい三日ほど前まで雪が降っていたので雪があって当たり前なのですが…。

さてジュネーブ行きの飛行機は搭乗して座ってふと前を見たらなんとエコノミー・プラスであった事が判明。

Economy_plus
1000ドル貰った上でエコノミー・プラスとはすごいオイシイ話です。更に機内はあまり混んでいなくて僕の隣も空席。何だかすごい得な話です。元々の土曜日の便ではきっとこうはいかなかったのだろうな、と思われます。そのジュネーブ行きの飛行機、五時半出発のはずだったのですが燃料ポンプの具合がおかしい、との事でゲートで修理作業をして結局、一時間半遅れの七時にようやく出発。やれやれ。燃料ポンプの故障って大丈夫なのか?という気はするのですが…。

ジュネーブ行きの飛行機の中では案の定、あまり寝る事ができませんでした。隣の席が空席で若干、体を伸ばす事ができたのにかかわらず眠れなかったのはある意味もったいない話ではありますがまあ眠れないものはどうしようもありません。幸い、時差にはわりとすぐに慣れる方なのでまああまり気にはしていません(がその一方で二、三週間前までは不眠症になっていたのでどうなる事やら…。でも僕は二月の不眠症は恋煩いのせいだと思っているのでもう大丈夫かと思っています。それでも来週、オマハに戻った時が少し怖い様な気はします)。

ともあれジュネーブで通関も済ませて無事にCERNに到着したのが八時前。まずはコーヒーと朝食を食べにカフェテリアに行ってきてそれからオフィスで同僚の皆さんが来るのを待機です。

Breakfast

今回は実験の会議の週なのであちこちから人は来ているのでしばらく会っていない友人にも会えるかな、と思っています。

« 十年前の夏に | トップページ | CERNへ出張(2015年春 その二) »

日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.f.cocolog-nifty.com/t/trackback/1537785/59204513

この記事へのトラックバック一覧です: CERNへ出張(2015年春 その一):

« 十年前の夏に | トップページ | CERNへ出張(2015年春 その二) »